12月 2011

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2012

今年もそろそろ終わりますね。

まだまだ勉強不足だなと思いつつ、今日も作業をしています。
しかし、それは経験を重ねていくうちになんとかなるので問題なし!!
それに今日もいっぱい研究して頑張ったもんね!
大事なのは僕の持っている素敵な感性かな。
自分で言いますが…。
これは、たくさんの方に出会い、キレイなものをみて、常に磨いてきた財産なので、
きっとこれからもさらに大きくんだろーなと考えるだけでも、本当ワクワクですよ。

その感性をいい意味で作品に出せた、That’s small Greces.2011では、
正直、今までの僕の作品の中では1番好きなものでした。
もちろん、自分の生み出した作品達には愛着ありますから、
この前の個展で展示したものも好きですよ。

でも好きの意味がちょっとだけ違うのかな?

まぁ、今作っている作品が完成したら、これが一番になるんだけどね。
それにしても、まだまだ『リトグラフって何?どうやってやるの?』
と今年もよく聞かれました。
この質問は何度お話しても上手く伝えられたという手応えがありませんね。
海外では知らない人のほうが少ないくらいなのに…。
みんなが知ってくれるまで頑張るしかないですが、気になる方はインターネットで調べて下さいね。
ただ、技法を調べても分からない、リトグラフの魅力について少しだけ教えますね。
これはリトグラフを好きでしている人しか味わえないほんの少しの幸せとでもいうのでしょうか?
時間がある方は僕のほんの幸せをお読み下さい。

リトグラフは、言うまでもなく版画の一種なので、刷りの際インクが必要です。
これは銅版画、木版画、シルクスクリーンも同じで、
版から紙へ、直接インクが転写される行程もほぼ同じなのですが、
版画の種類によって専用インクがあります。 
たとえば水性や油性など…。
しかし、リトグラフには紙に刷りとられることの無い、不思議な、
そして影のヒーローのようなインクがあるんです。

それは、製版インク(GRAPHIC CHEMICAL社のShop Mix Black)というものなのですが、
リトグラフにおいて、この製版インクの付け方で、作品が決まるといっても大袈裟ではありません。
版を作る過程に登場して、作品にそっとそっと命を吹き込んでくれるのです。
石に直接、リトクレヨン(リトグラフ専用のクレヨン)で描画した荒々しくも繊細な線や、
溶き墨(油脂分を含んだリトグラフ用の墨)で描いた水墨画のような瑞々しく
綺麗な調子を、この製版インクはそのまま保存してくれるのです。
とても重要な役で、これが無ければ作品は完成しません。

そのインクを、描画した版に載せる時に使うローラーは革製で、主に製版専用です。
このローラーは、特にお気に入りなので、作品の微妙な調子を出したい時など、僕は製版以外でもよく使います。
それに、この革製ローラーは結構なお値段で、僕が学生の時、数ヶ月分のバイト代で手に入れたんです。
プレス機も持っていないくせに、『いずれ必要になるはず』と、ローラー以外の道具もちょくちょく揃えていったんです。
おかげで、大学卒業前にプレス機を残し、全ての道具は揃いました。

さて、作業に戻ります。
いくつかの行程を終え、画面処理をした後、このインクをローラーに付け、
版の上に乗せて転がすのです。
描画部分に製版インクをそーっとそーっと、少しずつ載せていくのですが、
ここで濃淡も調整するんです。
描画部分にインクがのれば、一先ず問題なし!
成功です。
ただし、この段階でインクが版にのらなければ、
今までの全ての努力は水の泡となるのです。
失敗!!!
描画するところ、つまり最初からやりなおし!
とてもやり直す気になりません。

この黒い製版インクは、後にプリントクリーナーという液で拭き取られ、
再度、好みのカラーインクを上にのせます。
そして製版インクに置き換わったインクが紙に転写されるわけです。

刷り取られた紙にはみえない大事な大事な作業。
僕は刷りの行程はスキではないのですが、
この秘密めいた作業だけはちょっとスキです。

石に直接描き、それを紙に写す。
言葉ではいいつくせない、その版画の奥深さに魅了された、一人の日本人です。

来年も、そだきよしをよろしく!!!
ギリギリセーフ??

あっ、2012ねんになっちゃった!!!
あけましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします。