みなさん、こんにちは!
しばらく日報を書いていませんでしたが、先週のそだきよしをどうぞご覧下さい。
NewYorkへ行く朝、いつものバス停の近くにある店で、コーヒーとお水を買います。そこはコリアンのおじちゃんが長年やっている、小さな小さなお店です。奥には奥さんがいるのですが、なかなか表へ出てこない為、まだ会った事はありません。
レジやコーヒー等を入れるのはおじちゃんの仕事で、どうやら、奥さんは、サンドイッチを作っているようです。
このおじちゃんは、必ずと言っていいくらいお客と会話を楽しむのが日課で、誰が並んでいようと話をして列を作ってしまうのですが、大抵の客は常連さんなので何も気にせず順番を待ちます。
僕の前に5人…。レジへ辿り着くまで運が悪ければ、ざっと15分はかかります。僕はその間、どんな事を話しているのかを英語の勉強も兼ねてヒヤリング!おじちゃんの英語は少しぎこちないけど、単語をはっきり言うので聞き取りやすい。
ようやく僕の番になり、ペットボトルの水をポン!と置くと、『コーヒーブラックだろ!」と聞いてきたので、僕は『もちろん!』と答え、『でも、何で分かったの?』と聞き返したら、『この前もそうだったじゃないか!それにそんな格好してるしな。』と。甚平にジーンズと、おじちゃんからしてみれば、さぞ不思議に映ってたんでしょうね。
それから、少し会話を楽しみ、火傷するほどの熱湯コーヒーを入れてくれて、おじちゃんが「今日もよい一日を!ア・リ・ガ・ト・ゴ・サ・イ・マ・ス。」
僕は「おじちゃんもね!」そう言ってバスへ乗り込むのです。
バスの中、ようやく適温になったコーヒーとスケッチブックを持った僕は、作品のイメージを考えながら鉛筆を走らせます。
しかし、アメリカの広大な空に浮かぶ雲と一緒に、僕の記憶も少しずつ流され、気付けば夢の中へ…。
週末は、チェルシーやSOHOの近くでアンティーク市が開催されているので、掘り出し物を探しに行きました。
様々な物が、ギュウギュウにひしめき合う中、お目当ての物を発見!!1
しかし、それは売り物じゃない!と言われ、それなら一緒ににならべるな!と、ちょっとばかりムカッときましたが、隣を見るとまた興味をそそる物がわんさか。
そんなこんなで、ちょこちょこ買い物をして満足した後、いよいよ本題の画材屋巡り。
やっぱり画材屋さんは楽しいし興奮しますね。今、必要な物ではないのに無性に欲しくなるし、まず、どうしても必要な物の場所へ行かないと買い忘れてしまうくらい目移りしてしまいます。
実は、前の日報で、無いものを探すより、あるもので制作を楽しめ!みたいな事を言ってましたが、何だかどうしても諦めきれずにこの画材屋に来たのです。
すでに無い事な分かりつつ、それでも少しの期待を込めて店内を物色しましたが、やはり何処にも無かったので、新しいやり方を考える為に商品棚を眺めながめていました。
ふと、手に取った物と、僕がこっちに来てから手に入れた物をMixしたら使えるんではないだろうか?
薬品にはDANGER!と書いているけど、きっと大丈夫に違いない。これはやってみるしかない!それだけの価値はあるとさっそく購入し、急いで家に帰りました。しかしその日は疲れていたらしく、実験する力が残っていませんでした。
次の日、実験開始…。
薬品を混ぜ合わせ、プレートに定着するのを待つ………。よく定着させるため、1日くらい寝かせてあげないといけない事を忘れていて、この結果は翌日に。
もどかしい気持ちを押さえつつ、少々上の空の中この日は他の制作を続けました。
はやく結果が知りたいなぁ。
翌朝、いよいよ実験再開!
丁寧に丁寧に行程を踏んで、作業を進めました!予想を遥かに上回る出来に、一人でガッツポーズ。
まだまだ完璧ではないので、少しずつ理想に近くなるよう実験を重ねていくつもりです。
先週は、モヤモヤとイライラがずっと僕を苦しめていて、作りたい作品があるのに進められず、悔しい気持ちと、道具が無ければ自分の作品は何も出来ないのか!!!とすごく情けない気持ちでいっぱいでした。
きっといつかはこの道具も無くなるかもしれないし、現に今も入手が困難になりつつある。普通に考えれば、この版画が無くなるのもそう遠い話ではないんだろうな。
この前紹介した、BriceのやっているREMBRANDT GRAPHIC ARTSも、近いうちに閉店する事を聞かされ、本当に残念でなりません。版画をする作家が減れば、もちろん店は経営出来なくなる。これもまた悔しい事ですが、でも、この僕をここまで惚れさせた版画を無くならせない為に僕が出来る事はたくさんあるはず。
作品はもちろん、材料は大切に大切にしていきたいと思います。
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